こんな夜はあまりない

ライブ記録231015

KINOSHITA NIGHT 2023
木下理樹生誕祭・SHIGONOSEKAI〜

出演:ART-SCHOOL/ Syrup16g/ POLYSICS

15歳の頃からわたしの信仰対象であるART-SCHOOLのギターボーカル、木下理樹の生誕祭だった。45歳の誕生日、45(死後)の世界。2004年に15歳だったわたしは34歳になり、26歳だったリッキーは45歳になった。よく生きてくれたと思う。

POLYSICSのライブを観るのは2回目だった。1回目はつくばで、DENSHI JISONの企画だった。
The BeatlsのBirthdayをSEに登場した三人は、SHIGONOSEKAIに誕生日パーティー感を提供してくれた。自分の口から「死後の世界」っ言うの変な感じ、POLYSICSの辞書には「死後の世界」って載ってないからね、とハヤシヒロユキは言う。なおかつPOLYSICSは今回のイベントで決して浮いてないというのを、エピソードを交えて説明してくれて面白かった。ラストに演奏した「ガジャガジャグー」が圧倒的だった。

 

コロナ以降Syrup16gのライブに行けておらず、久しぶりに目の前で演奏する姿を観た。五十嵐隆も生きててくれてありがとう。みんなありがとう。
新曲を2曲やってから、「全部新曲やります!嘘!あと2曲!」と嘘をつかれた(「ありがとう」以外唯一のMC)。新曲4曲。4曲目は歌詞がよく聴き取れた。すごく良かった。
それから、何度も聴いてきた曲を4曲。「神のカルマ」で泣いてしまった。
前述したように、ART-SCHOOLに出会ったのは15歳で、Syrup16gを聴き始めたのは17歳だった思う。アートはわたしの宗教で、シロップはわたしの薬みたいなもの。『coup d'État』を聴かないと眠れない夜、『COPY』を聴かないと歩けない朝が無数にあった。
最後の曲「落堕」の演奏中に五十嵐隆が「木下理樹(以下聞き取れない)〜〜〜!」と何か叫んでいて良かった。アップテンポ。ハウリングの音を残してステージから三人が去り、スタッフがつまみを丁寧に切った。

 

Aphex TwinGirl/Boy Song」のSEが流れて、ART-SCHOOLが登場した。転換中のBGMでMy Bloddy Valentineの『Loveless』が流れていたが、5人体制のシューゲイザーサウンドが完成に近いかたちになったように感じた。そう思わせてから、2曲目でファーストアルバムから「アイリス」、3曲目でセカンドアルバムから「EVILE」を演奏してくれたので叫んだ。前半は特に、原曲よりもローテンポの演奏が多かった。たっぷり。大好きな曲「プール」もやってくれた。
メンバーの演奏がキレッキレだった。ライブの途中でトイレに行きたくなかったので酒は飲んでいなかったが、わたしの脳はぶっトんでいた。いつもするセトリの暗記も手放していた。翌日も手放して身体を好きなように使った。
Syrup16gの新曲について五十嵐隆木下理樹へ「プレゼント」と言った話、トディが加入当時使っていたエフェクターを今日セッティングしている話、木下理樹が愛されているという話など聞く。MCが回ってくる度に「シロップとポリは、」と言及する木下理樹もまた人を愛していると思った。愛されたい、愛は終わると歌い続けた人。
アンコール後のMCで、リッキーはたどたどしく、しかしはっきりとした声で「こんな夜はあまりない」と言った。本当にそう。最低な夜を数千越えて生き残ったら、今夜みたいな日に辿り着いた。生きてて良かったとその瞬間思ったことを、記録しておく。

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ライブが終わって電車に乗っているとき、いつもはイヤフォンをしていないとどんどん消耗してしまうのに、大丈夫だった。
高田馬場へ移動して、同じく生誕祭に来ていたTwitterで長年つながっている人と、彼の友人と合流して3人で飲んだ。感情が大変なことになっていたので助かった。そして飲みすぎた。最寄駅からタクシーを使って帰宅し、床に倒れ込む。弟に「今日は死ぬのに良い日。」と言ったら、「良い日、なんでしょ。」と言われた。